基調講演
1.「障害とともに闘い歩む中で」


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「障害と共に闘い歩む中で」

日本ALS協会 広島県支部  副支部長 鈴木 加代子


 ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、身体の自由が奪われ話す事さえ困難になっていく難病です。 百人いれば百通りの症状があり、呼吸が出来にくくなり気管切開をして呼吸器をつけても手の指を動かす事が出来る人、私の夫のように足からきて歩行困難になる等、症状の出方は様々です。

 病気の告知を受けた2000年1月から3月までは泣いて暮らしました。闘うといっても何をどうしたら良いのか、困惑している間にも症状が進んで変化していく事に対応するだけの毎日の生活の中、それでも情報を集めました。

 余命3年から5年と宣告されたなら、今できる事があるはずと夫婦で話し合いました。行きたい所へ行き、そして逢いたい人に逢い、食べたい物を食べる、楽しいことを捜す、そう決めたらすぐ、夫の希望でヨーロッパへ私の友人と長男の4人で出かけました。ハワイは夫の同級生と、中国は夫が所属していた合唱団の方々と、思いつくままの国内旅行は二人でと 沢山の思い出作りを動ける間に車椅子旅行を楽しみました。

2003年4月に呼吸器を装着してから自宅で24時間看病をすると決めた時、私自身も自分らしく生きる事が、夫に心の負担を掛けないのではないかと仕事を手放さない事も決めました。それは「看病した為に、何も出来なかった」とか、「私の人生何だったのかな」なんて夫に対して愚痴を言わないですむように多少縮小はしましたが今までと同じ様に仕事を続けて 共に生きる 事も同時に決心しました。

 それから、起きあがってテレビも見られない彼のベッド周りの環境を見直して、スーチルラックにコロを付け14インチのテレビをつり下げてゴロゴロと顔面に近づけ見たいときに楽しんで貰う様にしたり、雨の時にも外を観ながらリハビリが受けられるように部屋からウッドデッキを張り出したり、本当に様々な事があった6年間でした。

 2006年1月に夫が他界した後、私の得た体験を生かすには何をすればいいのか?と考えてみました。患者さんは多くのスッタフが見守っているけど、主に自宅で介護している人のケアも必要ではないかと思い、どのようにしたら心安らかに、勇気をもって大事な人と接する事が出来るのか、その家庭の事情も踏まえて話し込んでみることにしました。家族が 共に生きる を中心に環境を整えていく様に話し合っていく様にしています。

 ALS広島支部としては、患者さんと家族を励ます為にベットサイド出前コンサートで生の音楽(バイオリン、琴、ソプラノ歌手)を楽しんで等の活動を行っています。これからも、支部会員の方々と力を合わせて、患者さんと家族が「共に生きていく」サポートをしていきたいと考えています。




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